エンディング・スタイルvol.419
【日曜日】お勧め図書紹介
“平穏死という生きかた”
著者 : 石飛幸三氏
特別養護老人ホーム芦花ホーム 医師
発行 : 株式会社 幻冬社
タイトルを見てまず驚いたことは、
著者が言うところの平穏死とは、
『死にかた』、
つまり、どう死ぬか、ではなく、
『生きかた』だと標榜している点です。
つまり平穏死って、どう死ぬかではなく、
どう生きるか、なの?ということです。
人は老いとともに徐々に衰えていき、
次第に食べ物を受け付けなくなり、
しまいには水分も受け付けなくなり、
枯れていくように、
自然に安らかに命を終えるのが
一般的でした。
時代の流れとともに、
文明や科学技術、医学も進歩しました。
その結果として、死なせない、
あるいは、1日でも死期を遅らせることが、
医療の最大の目的になりました。
まるで、死=とは、あってはならないこと
の筆頭に位置付けられたかのように見えます。
けれど、平穏死を『生きかた』と捉えると、
話は違ってきます。
死は終わりではなく、
生きる過程におけるひとつの通過点に過ぎない
のではないか、という思想に行き着きます。
死後も自分という人生、人格が続くのであれば、
死は生きかたの一部、ということができます。
死によってすべてが終わると考えるならば、
死とはこの上なく怖いものです。
でも、もしかしたら、
死は恐ろしいことではないのでは?
と、思わせてくれる一冊です。
『生きかた』に興味がある方は、
手にとってみてはいかがでしょうか。