”相続放棄を考える際に知っておくべき2つのポイント”

エンディング・スタイル vol.434
【月曜日】相続準備

“相続放棄、2つのポイント”

相続財産とは、被相続人(亡くなった人)が
残したすべての財産を指します。

たとえば現金、預貯金、被相続人名義の不動産、
自動車、宝石、骨董、絵画や美術品のほか、
他人に貸した貸金債権も財産として相続する
ことになります。

カードローンや消費者ローンなどの借金も、
マイナスの資産として相続人が相続すること
になります。

ただし、借入金のうち住宅ローンは契約時に
団信(団体信用生命保険)の加入が義務付け
られており、契約者が死亡した場合は保険か
らローン残額が支払われるため、マイナスの
資産として残る心配はほとんどありません。

おそらく一番困るのは、被相続人が誰かの保証
人になっていた場合で、基本的には、保証人の
立場も承継(相続)することになります。

被相続人の借金などのマイナスの資産がプラ
スの資産より多い場合、相続人は思わぬ出費を
迫られ損害を被ることになってしまいます。

このようなケースから相続人を守るために、
相続放棄という手続きがあります。

~民法915条~
相続人は、自己のために相続の開始があった
ことを知った時から三箇月以内に、相続につ
いて、単純若しくは限定の承認又は放棄をし
なければならない。
~ここまで915条~

「単純承認」とはプラスもマイナスもすべて
相続するという意味です。

相続開始後3か月間に特に何もしなければ、
「単純承認」したものと、みなされます。

プラス財産よりマイナス財産の方が大きい場
合などに「限定承認」を選ぶことができます。

「限定承認」とは、債権者(被相続人にお金
を貸していた人)に対して、プラス財産の範
囲内で借金を返すが、相続財産で返しきれな
い分はあきらめてもらうというものです。

ただ「限定承認」は相続人が複数いる場合は
相続人全員でする必要があるため、ハードル
が高くなります。

プラス財産よりマイナス財産の方が多い場合
のもうひとつの選択肢が「相続放棄」です。

「相続放棄」はプラスもマイナスも、相続を
すべて放棄するというものです。

「限定承認」も「相続放棄」も、相続開始を
知った時から3カ月以内に、家庭裁判所に申
し出る必要があります。

「相続放棄」は「限定承認」と違い、相続人
が何人いても単独ですることができます。

「相続放棄」すると、せっかくのプラスの財
産も相続できないので残念ではありますが、
債権者にしてみれば、貸したお金を返しても
らえないわけですから、気の毒ではあります。

尚、「相続放棄」は相続が始まる前にはする
ことができません。これは相続人の権利を守
るためです。

「相続放棄」を選択する際は、以下の2つの
点に注意しましょう。

【相続放棄に関する2つのポイント】

・3カ月以内に家庭裁判所に届け出ること。

・一旦「相続放棄」を選択し手続きをした後
は、これを3カ月以内であっても取り止める
ことはできないので、よく考えて慎重に意思
決定すること。