“医療現場からの手紙 無理な延命は「メシのたね?」”『欧米に寝たきり老人はいない』より

エンディング・スタイル
vol.428
【火曜日】医療・介護

“医療現場からの手紙
無理な延命は「メシのたね?」”

今日は延命治療について、
ある本から引用させて
いただきます。

タイトルは『欧米に
寝たきり老人はいない』

北海道大学名誉教授・
北海道中央労災病院
院長の宮本顕二氏と、
桜台明日佳病院認知症
総合支援センター長
宮本礼子夫妻の共著です。

中央公論新社から
2015年6月に
出版されました。

夫妻は2012年、
「高齢者の終末期医療
を考える会」を立ち上
げ活動しておられます。

全編にわたり日本と
海外の終末期医療の
考え方の違いが克明
に記されています。

あれこれ言うより、
原文のままが良いと
思いますので、引用
させていただきます。

~P22より引用~

医療現場からの手紙
無理な延命は
“メシのたね”?R
(宮本礼子医師著)

ある日、札幌市内の
病院に勤務する方から、
私のところへ手紙が
届きました。

“私はこの病院に勤め
て5年になります。
「胃ろう」のことでお
手紙を差し上げました。
人間としての機能は
まったくなく、植物の
ようなご老人のご家族
に、「胃ろう」について
説明しても理解できず
にいます。そのような
とき、先生は「胃ろう
にしたら食べられるよ
うになる患者がいる」
と必ず説明します。
するとご家族は喜んで
「先生、お願いします」
と言います。そして次
々と「胃ろう」が造ら
れ続けています。「胃ろ
う」にして食べられる
ようになった患者さん
は、この5年間で一人
もいません。明るい話
は皆無で、医療費の支
払いのために夜の勤め
に変わったご家族もい
ます。これが適切な医
療でしょうか。人とし
ての尊厳、そして人と
して自然に死ねるよう
な環境をつくることも、
私共の仕事と思います。
無理な延命は「メシの
たね」と揶揄されてい
ます。どうかご一考を
お願いいたします。今
年こそと思い筆を取り
ました。友人も皆同じ
思いです”(原文まま)

また、知り合いの医師
から次のようなメール
をもらいました。

“こんばんは。今日は
当直です。胃ろう、点
滴、モニター、尿道カ
テーテル、抑制帯等に
つながれて、回復の見
込みがなく一人ぼっち
でベッドに横になって
いる老人の姿を見てい
ると切ない気持ちにな
ります。当直室は広く
て閑散としているので、
よけい空しくなります。
私は、影響力がないの
で、とりあえず、自分
の患者さんだけには、
惨めな、つらい思いを
させないよう心掛けて
います。終末期医療の
治療方針の決定には、
法律、マニュアル等の
制定、生前の意思表示
等も必要ですが、われ
われ医師、家族が、そ
の人らしく、人間らし
く、人生を完結させて
あげるよう導く道を見
つけ出すことが大事だ
と思います”

~引用おわり~

医療関係者の皆さま、
ぜひご一考を!

そして私たちも
考え続けましょう。